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#6

あなたなら、そのコピーに、いくら払いますか?

2020.3.10

ここに1本のキャッチコピーがあるとする。このコピー料は、5,000円か?50,000円か?500,000円か?もちろん案件、媒体、クライアントの予算など、さまざまな条件から換算されるのだが、果たして、そのコピーライティングの正当な価値を理解しているだろうか、という話だ。

地方の広告制作現場には、コピーライターという職業者がほとんどいない。言葉なんて、日本語なんて、普段みんな話しているし書いている。誰でも書ける、ということらしい。クライアントの社長自らが書いて渡してきたり、広告代理店の営業が四苦八苦考えたり、あるいは、デザイナーがデザイン作業の傍らライティングしたりしているということだ。

1980年代、広告の時代、コピーライターの時代と言われた頃、有名一流コピーライターは、「1行、1,000万円」などと吹聴していたものだ。そんな時代もあったのだが、そんな傾向は、その時代だけ、首都東京だけだったというわけだ。

コピーは、果たして誰でも考えつくモノなのか?と、私は、経営者として、さまざまなコピーライターを見ていて思う。それはきっと、NOだろう。
商品の特性から、そのUSPを見つけ出し、何を表現するかを決定し、またどのように表現するか、トーンナリティーを設定する。もちろんマーケティングスタッフとの連携もあるだろう。そうして、たった1行のコピーが生まれる。100案考えて、究極の1行ということもあるだろう。とてつもなく専門的な仕事なのだ、と思う。
なかには、確かに、クライアントからのオリエンテーションの場で記したメモ書きが、そのまま最終コピーになったという場合もあるだろう。はたまた3晩徹夜して、どうにか絞り出したキャッチコピーもあるだろう。5分でできたものも、1週間でできたものも、成果としては同じだ。広告の仕事は、労働価値ではない。できたもので評価を得る。
なるほど、コピーライティングには、人件費以外コストは掛からない。昔は、紙とえんぴつ。いまはパソコン1台だけ。頭ひとつ、アイディアひとつの勝負だ。しかし、そこで生まれたコピーがビジュアルを喚起し、クリエイティブを引っ張り、そして結果的に消費者の感情を揺さぶる、ということはよくある。言葉は、すべての始まりだ。クリエイティブの根幹なのだ。

たとえば、弊社が担当した案件で、青森の八百屋チェーンのリブランディングというものがあった。VI変更から店舗デザイン、プロモーションまで携わったものだが、そのすべてを引っ張ったのが「まっすぐに、八百屋」というタグラインだった。その1行には、時流に流されて、やみくもに安易な変化を志向するのではなく、本来の八百屋としての矜持と自信と自負を持ち、地道に商売を続けていこうという意思が込められている。その結果、ブランディングは成功裏に終わり、売上は予想の140%を達成した。たった1行のコピーがすべてを牽引した一例だ。

もちろんクリエイティブの現場にいると、コピーの大切さ、タグラインの重要性は、よくわかっているはずだ。分かっているけど、評価しない、評価されない。その原因は何なのだろう。業界の慣習か、コストが掛かっていないせいか。
私は、その「頭の中」を正しく評価していきたいと思う。
始まりには、いつも「言葉」がある。そして、アイディアが生まれる。商品が動く。
その重要性を分かった経営者であろう、と思う。
私は、フェアな評価で、フェアな仕事ができる環境を、常に作り出していたい。すると仕事も楽しくなる。いきいきと仕事ができるようになる。そういう現場からのみ、誰からも評価される、消費者の心をつかむ、最良の仕事が生まれるのだと思う。

さて、あなたなら、そのコピーにいくら払うだろうか?

株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文

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