log17.png
CA
Log
#18

ブランディングって、
一体何だろう?の話。

2020.9.15

今回は、弊社でも数多く携わっているブランディングについて、考えてみたいと思う。振り返ってみると、ひと昔前まではブランディング、PR、セールスプロモーション、CSRなど、分けて考えられていた。しかし、いま現在、それらは分けて考えることができないのではないか。モノを売るためには、ブランディングが必要であるし、ブランディングなきところにモノは売れない。いまではプロモーションもブランディングも、ひとつの事象としてつながっている。ユーザーに接触するすべての事柄がブランディングにほかならない、と考えている。

たとえば、商品の価値に差異がない、USPに差がない場合、広告は有効か、という議論がある。その価値が同じであるとき、その商品の背景にあるストーリーが差別化のカギとなるだろう。消費者が、そのブランドに帰属できるか?応援したいと思ってくれるか?そこに消費者の共感がないと、ブランドは成立しない。共感とは、その商品と自分との関係、そのストーリーを消費者が自分ゴト化して考えてくれるということだ。では、その共感を得るにはどうすればいいか。商品のUSPを発していけばいいのか。企業カルチャーを発信することでいいのか。
私は、ブランドはそれを取り巻くすべての人間、たとえばメーカーやサプライヤー、物流、リテール、そして消費者と、それらが一体となって形成されていくものだと思っている。ブランドとは、人間そのものにある。魅力的な商品や企業を生み出すのは「人」だ。そして、そのベースには繊細な哲学や、時代を見越したセンスやアイデアといった唯一無二の原石のようなものがある。その原石がさまざまな過程を経て磨かれ、マーケットを生み出し成長していく。だからこそ、そこにストーリーが生まれるのだ。それらの社内外に内包するストーリーを吸い上げて、時代に合った魅力的なテーマ設定をし、クリエイティブで表現すること。その表現が影響するところは消費者ばかりではない。さきほど述べた、メーカー、サプライヤー、リテールにおよぶすべての人々にリスペクトされて、彼らの人生をより良い方向に導くこと、そのためにブランディングはあると思っている。
よく勘違いされることだが、たとえばタグライン、ロゴ、キービジュアルやパッケージデザインをただ制作することがブランディングではない。それはブランドを見える化しているに過ぎない。
発するメッセージをひとり一人の人間のもとに落とし込めなければ、それは強いものにはならない。ただ、ロゴがカッコいいとかカッコ悪いとかの次元の話ではない。それで終わってしまっては、一流の仕事とは言えないだろう。なぜなら、ブランドは人であり生き物なのだから。

弊社ではブランディングの仕事を始める場合、まずは、事業者さんの中のひとり一人の想いにじっくり耳を傾けることにしている。丁寧に聞き込んでいけば、そのなかにもう既に答えがあることが多い。答えは、埋もれているだけであり、その埋もれている魅力を再発見して、整理し直して、取り出してあげること。そして、それを表現すること。すべての企業はブランドを持っている。そこを正しく見える化できるかどうかで、企業の成長やインナーモラルなどが劇的に変わっていく。

ブランディングの目指すところ、それは企業成長に寄与することにほかならない。
そのためには、その企業に交わるすべての人々が価値観を共有し合い、同じ方向をみて歩む必要がある。そして、その取り組みが社会にどのようなインパクトを与えるのかを理解する必要があり、そのことにワクワクしていなければならない。
ブランディングはもはや経営レイヤーで意思決定される領域であり、そこに価値を見出せない経営者は遅かれ早かれ、市場に取り残されていくだろう。

現在では、新しいモノ、サービスの情報を届けるには、デジタルという手法が効率的である。しかし、最も重要なことはその中身である。私たち人間は、感情動物だ。だからこそ、理屈だけではなく、共感というものが必要となる。共感があれば、情報を広く届けるベースができる。情報を拡散させる空気感も熟成できるだろう。
人々の共感を得ること。私たちの仕事の核心だと思っている。そのためには私たち自身が人間的であること。人間として正しくあること。そして、アンテナを広げて、いろいろな人々の、かすかな声を聞き逃さないことだと思っている。私たちの仕事は、そこから始まる、と信じている。

株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文